配信でBGMを流してよいかは、「曲の権利」と「音源の権利」を分けて考えると判断できます。YouTubeなどは作詞・作曲の権利について管理団体と契約していますが、市販CDなどの音源そのものの権利はJASRACの管理外です。市販曲をそのまま流すのは避け、利用条件がはっきりしたフリーBGMを使うのが現実的です。
この記事は、これから配信を始める人に向けて、執筆時点(2026年10月)の公式ヘルプと管理団体の案内をもとに整理したものです。法律の解釈を断定するものではありません。最終的には各サービスの公式規約と、使う曲の利用規約で確認してください。
配信BGMの著作権は「曲」と「音源」の2つで考える
1曲の音楽には、少なくとも2種類の権利が重なっています。ひとつはメロディや歌詞を作った人の権利(著作権)です。もうひとつは、その曲を録音した音源を作ったレコード会社やアーティストの権利(著作隣接権)です。
JASRACは、利用許諾契約を結んでいる動画投稿サービスであれば、投稿者は一定の範囲内でJASRAC管理楽曲を含む動画を手続きなしでアップロードできると案内しています。一方で、市販のCDやダウンロードした音源を使う場合は、著作権とは別に著作隣接権の許諾が必要で、JASRACはこの権利を管理していないとしています(出典: JASRAC「YouTubeなどの動画投稿(共有)サービスでの音楽利用」)。
NexToneも、利用契約のある動画配信サービスでは運営者が利用楽曲の報告や使用料の支払いを行うため、投稿者側の手続きは不要と案内しています(出典: NexTone FAQ)。
つまり「YouTubeはJASRACと契約しているから好きな曲を流してよい」は誤解です。契約がカバーするのは主に曲の部分で、音源の部分は自分で確認する必要があります。音の種類ごとに整理すると、次のようになります。
| 流したい音 | 曲の権利 | 音源の権利 | 配信での扱いの目安 |
|---|---|---|---|
| 市販CD・ダウンロードした曲 | 契約サービスなら運営側が処理する場合がある | レコード会社等の許諾が別に必要 | 流さないのが無難 |
| 自分で歌う・演奏する既存曲 | 契約サービスなら手続き不要の範囲がある | 自分で録った演奏なら自分 | サービスが管理団体と契約しているか確認 |
| フリーBGM素材サイトの曲 | 素材サイトの規約しだい | 素材サイトの規約しだい | 規約で配信・収益化の可否を確認 |
| YouTubeオーディオライブラリの曲 | 曲ごとのライセンスによる | 同左 | 曲ごとのライセンスの種類を確認 |
| 自作曲・依頼して作ってもらった曲 | 自分または契約で決めた相手 | 自分または契約で決めた相手 | 依頼時に配信利用の範囲を決めておく |
管理団体と契約しているサービスの一覧は、JASRACが利用許諾契約を締結しているUGCサービスの一覧で、NexToneが許諾状況の一覧(PDF)で公開しています。使う予定の配信サービスが載っているかを先に見ておくと迷いが減ります。
YouTube配信で音楽を流すと著作権的にどうなるか
YouTubeには、権利者が登録した音声や映像と投稿を自動で照合する「Content ID」という仕組みがあります。通常の動画で一致が見つかると申し立てが付き、権利者の設定によって視聴のブロック、広告による収益化、視聴統計の追跡のいずれかが行われます(出典: YouTubeヘルプ「Content ID の仕組み」)。
ライブ配信中の一致は、扱いの流れが違います。ヘルプによると、一致が検出されるとまず警告が出ます。一致が続くと配信が音声なしの静止画に差し替えられることがあり、さらに続くと配信が終了される場合があります(出典: YouTubeヘルプ「ライブ配信における Content ID の一致の使用について」、同「ライブ配信に関する著作権の問題」)。BGMが原因で配信が途中で止まるのは、この流れです。
配信中に警告が出たら、まずBGMを止めるのが先です。原因の曲がすぐに分からないときは、BGMをすべて切って配信を続けます。終わってから曲ごとに規約を見直すと、落ち着いて対処できます。
Content IDとは別に、権利者からの削除依頼による「著作権侵害の警告」もあります。こちらはアカウントに影響が残る仕組みで、警告が重なると重い措置につながります。ライブ配信が警告で削除された場合、一定期間ライブ配信の機能が制限されることもあります(出典: YouTubeヘルプ「著作権侵害の警告について」)。
Twitchなどほかの配信サービスでの扱い
サービスが変わると、ルールの書き方も変わります。Twitchは、配信で流せる音楽の範囲や、著作権のある音声が検出されたときの扱いを公式ヘルプで案内しています。購入した曲やクレジット表記の扱いも含めて、Twitchで配信する人はストリーマーが利用可能な音楽の選択肢と著作権で保護されたオーディオコンテンツの検出および警告を直接確認してください。
ほかのライブ配信アプリも、管理団体との契約の有無やBGMの規約がそれぞれ違います。配信先をまだ決めていない人は、配信プラットフォームの比較記事で候補を絞ってから、その公式ヘルプの著作権ページを読むのが早いです。
配信で使えるフリーBGMの選び方と確認のしかた
「フリーBGM」は、権利が一切ないという意味ではない場合があります。多くは「規約の範囲で使ってよい」という意味です。使う前に、配布ページの利用規約で次の順に確認します。
- ライブ配信とアーカイブ(動画として残すこと)の両方で使えるか。
- 収益化した配信・広告の付く動画でも使えるか。
- クレジット表記が必要か。必要なら書き方の指定はあるか。
- Content IDなどに登録されている曲か。申し立てが付いた場合の対処が案内されているか。
- BGMを加工したり、ループさせたりしてよいか。
手軽な入口として、YouTube Studioのオーディオライブラリがあります。動画で使える著作権使用料無料の音楽と効果音が用意されていると案内されています(出典: YouTubeヘルプ「オーディオ ライブラリの音楽と効果音を使用する」)。ライセンスの種類は曲ごとに表示されるので、使う前に必ず確認します。クリエイティブ・コモンズ(CC BY)の曲は、作者のクレジット表示が必要です(出典: YouTubeヘルプ「YouTube のライセンスの種類」)。
規約を読んだら、どの曲をどのサイトから、どの条件で使ったかをメモに残しておくと安心です。申し立てが付いたときに、利用条件をすぐ示せます。
候補の曲は配信前にまとめて規約を確認し、確認済みの曲だけを集めたフォルダやプレイリストを作っておくと便利です。配信中に思いつきで曲を足すと、確認漏れが起きやすくなります。声とBGMの音量バランスも、事前に短く録画して聞き返しておくと失敗が減ります。
配信BGMと著作権のよくある質問
Q. 購入した曲や、音楽配信サービスで聴いている曲を流してもよい?
購入や月額契約は、基本的に自分で聴くためのものです。配信で流す許可まで含まれるとは考えないほうが安全です。JASRACの案内のとおり、市販音源には曲とは別に音源の権利があります。
Q. 既存の曲を自分で歌ったり演奏したりするのは?
曲の権利は、配信サービスが管理団体と契約していれば、一定の範囲で投稿者の手続きが不要とされています。ただし利用方法によっては個別の手続きが必要になる場合がある、とJASRACは案内しています。伴奏に既存の音源を使う場合は、その音源の扱いも別に確認してください。
Q. 概要欄にクレジットを書けば市販曲を使える?
クレジット表記は、規約でクレジットを条件にしている素材を使うときの手続きです。それだけで権利のない曲を使えるようになるわけではありません。
Q. 申し立てが来たらどうする?
まず該当する曲の利用規約と、自分のメモを見直します。根拠がなければ、その部分のカットや曲の差し替えで対応します。正当な利用だと考える場合の手続きは、YouTube公式ヘルプの案内に沿って進めてください。迷うときは、専門家に相談するほうが安全です。
今日やること:使うBGMの規約を1つ読む
配信BGMの著作権で迷ったら、市販曲は流さず、規約を確認したフリーBGMを使う。この線を引いておけば、デビュー直後の配信が止まるリスクを大きく減らせます。今日は、配信で使う候補のBGMを1曲だけ選び、その配布ページの利用規約で「ライブ配信」「収益化」「クレジット」の3点を確かめてください。
配信のBGMやジングルを自分専用に作ってもらう方法もあります。依頼するときは、ライブ配信とアーカイブでの利用、収益化の可否を契約で決めておきましょう。
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BGMの準備が終わったら、配信ソフトの設定や最初の配信までの流れは配信の始め方ガイドで確認できます。ゲーム実況では、ゲーム内の音楽の扱いを各タイトルの配信ガイドラインで確認してください。何を配信するか迷っている人は配信で盛り上がるおすすめゲームも参考にしてください。

