配信がカクつく原因は、「OBSが画面を描くのが間に合わない」「エンコードが間に合わない」「回線で送りきれない」の3つのどれかです。どれなのかは、OBSの「統計」に出る3つの数字を見れば1つに絞れます。
カクつきの対策を並べた解説は多いものの、対策は原因ごとに向きが逆です。回線が原因なのにPCの設定を下げても、PCが原因なのに回線を替えても直りません。この記事では、先に数字で原因を決めてから、その原因に効く設定だけを触る順番で書きます。
VTuberの場合は、ゲームとモデルを動かすアプリとOBSが同じPCで同時に動きます。ゲーム実況だけの人より疑う場所が1つ多いので、その切り分けも含めます。配信の始め方そのものはゲーム配信の始め方ガイド(YouTube/Twitch)にまとめています。
配信がカクつく原因は3つ|OBSの統計で切り分ける
OBSは、1コマごとに「シーンを合成して描く(レンダリング)」「映像を圧縮する(エンコード)」「配信サイトへ送る」の順で処理しています。どこかの段で処理が遅れると、そのコマが捨てられて、視聴者にはカクつきやコマ落ちとして見えます。
OBSはこの3段それぞれで捨てたコマの数を記録していて、統計ウィンドウで確認できます。執筆時点(2026年9月)のOBS Studioでは、メニューの「表示 > 統計」で開きます。日本語表示での項目名は、OBS公式リポジトリの日本語UIファイルで確認できます(出典: OBS Studio 日本語ロケールファイル(GitHub))。
| 統計の項目名(執筆時点) | どの段で遅れているか | 主に疑う場所 |
|---|---|---|
| レンダリングラグにより逃したフレーム | シーンの合成・描画 | GPU(ゲームやモデル表示アプリとの取り合い)、重いソース |
| エンコードラグによりスキップされたフレーム | 映像の圧縮 | エンコーダの種類、出力解像度・FPS、プリセット |
| ドロップしたフレーム (ネットワーク) | 配信サイトへの送信 | 回線、Wi-Fi、ビットレート、ルーター |
見るのは「どの数字が増え続けているか」です。統計ウィンドウにある「統計をリセット」を押してから、いつもどおり5〜10分ほど配信(または限定公開のテスト配信)をして、3つの数字を見比べてください。0のまま動かない項目は原因から外せます。複数が同時に増えている場合は、増え方が大きいほうから直します。
同じウィンドウには「CPU使用率」と「フレームのレンダリングにかかる平均時間」も出ます。数字の見方に慣れないうちは、上の3項目だけで十分です。OBSの基本的な画面の見方はOBS Studioの使い方ガイドを見てください。
レンダリングラグが増えるとき|GPUの取り合いを減らす
レンダリングラグは、OBSが1コマぶんのシーンを時間内に描けなかったときに増えます。OBS公式Wikiによると、OBSはシーンの合成と描画にGPUを使います。ゲームが画質最大・フレームレート無制限でGPUを使い切ると、OBSに回る余力が残らないと説明しています(出典: OBS公式Wiki「GPU Overload Issues」(2022年版。現在は公式ナレッジベースへ移転))。
VTuber配信では、ここにLive2Dや3Dのモデルを表示するアプリが加わります。まずWindowsのタスクマネージャーを開き、配信中にどのアプリがGPUを使っているかを確かめてください。同Wikiも、ほかにGPUを多く使っているプログラムがないかをタスクマネージャーで確認するよう勧めています。そのうえで、効きやすい順に次の対策を試します。
- ゲーム側でフレームレートの上限を設定する。同Wikiは、モニターのリフレッシュレートに合わせ、それでも重ければOBSのFPSに合わせるよう勧めています。
- ゲームのグラフィック設定を1段ずつ下げ、統計の数字の増え方が変わるかを見る。
- OBSを管理者として実行する。同Wikiによると、OBS Studio 24.0.2以降は管理者として起動すると、WindowsにGPUの処理能力を確保するよう求められます。多くの場合これで改善するとされています(Windowsのみ)。
- 使っていないブラウザソースやフィルタを減らす。チャット欄やアラートなどのブラウザソースは負荷が大きく、動かない画像ならブラウザソースではなく画像ソースで表示するよう同Wikiは勧めています。
モデル表示アプリに描画のフレームレートや画質の設定がある場合は、そちらも下げてみてください。VTube Studioを使っている場合の画面構成はVTube Studioの使い方|モデル読み込みからOBS配信までで確認できます。アプリの設定を変えたら、統計をリセットして数字が減ったかを見てください。
エンコードラグが増えるとき|OBSのカクつきは設定で直す
エンコードラグは、映像の圧縮が時間内に終わらなかったときに増えます。このとき、OBSに「エンコードが高負荷です! 映像設定を下げるかより高速なエンコードプリセットの使用を検討してください。」という警告が出ることがあります(文言は執筆時点の日本語UIファイルによる)。
OBS公式Wikiの性能トラブルの記事では、CPU使用率への影響がいちばん大きいのは出力解像度だと説明しています。1080pは720pの2倍以上の画素数があり、そのぶん負荷が上がります(出典: OBS公式Wiki「General Performance and Encoding Issues」(旧版。現在は公式ナレッジベースへ移転))。見直す順番は次のとおりです。
| 順番 | 設定の場所(執筆時点のメニュー名) | 変える内容 |
|---|---|---|
| 1 | 設定 > 出力 > 映像エンコーダ | 「ソフトウェア (x264)」なら、GPUに付いているハードウェアエンコーダ(NVENC・QSV・AMDなど)に切り替える |
| 2 | 設定 > 映像 > 出力 (スケーリング) 解像度 | 基本 (キャンバス) 解像度はそのままにして、出力だけを1段下げる |
| 3 | 設定 > 映像 > FPS 共通値 | 30より高いなら30にする |
| 4 | 設定 > 出力 > エンコーダプリセット | x264のままなら、既定値のveryfastより遅いプリセットを選んでいないか確認する |
ハードウェアエンコーダは、同Wikiによれば同じビットレートでは画質がやや落ちるかわりに、CPUの負荷を大きく減らせます。どのエンコーダが選べるかはPCのGPUによって違い、選択肢に出てこないものは使えません。出力解像度を下げるときも、基本解像度を変えなければ配信画面のレイアウトは崩れません。
x264のプリセットは慎重に扱ってください。同Wikiは、1段遅いプリセットにするだけでCPU使用率が大きく変わり得るとし、迷ったらveryfastに戻すよう書いています。ハードウェアエンコーダに切り替えたあとにエンコードラグが増えるなら、今度はGPUの負荷が原因の可能性があるので、前の章のレンダリングラグの対策も合わせて行います。
ネットワークでドロップするとき|配信のコマ落ちは回線を見直す
「ドロップしたフレーム (ネットワーク)」だけが増えるなら、PCは間に合っていて、配信サイトへ送る途中で詰まっています。OBS公式Wikiは、この状態を「配信サーバーへの接続が安定していないか、設定したビットレートを維持できない」ためにコマを捨てている状態だと説明しています。OBS Studio自体がドロップの原因になることはほぼない、とも書いています(出典: OBS公式Wiki「Dropped Frames and General Connection Issues」(2025年5月版。現在は公式ナレッジベースへ移転))。
ここでよくある誤解が、スピードテストの数字です。同Wikiによると、スピードテストの上り速度は理想条件での上限にすぎず、安定して出せる速度はその70〜75%程度と考えたほうがよいとされています。同じ回線でも日によって状態が変わるので、昨日大丈夫だった設定が今日も通るとは限りません。
同Wikiが挙げる対策を、手をつけやすい順に並べると次のようになります。
- Wi-Fiをやめて有線(LANケーブル)でつなぐ。Wi-Fiは不安定になりやすく、配信には安定した接続が必要だとされています。
- 「設定 > 出力」の映像ビットレートを下げる。画質が気になる場合は「設定 > 映像」で出力解像度やFPSも一緒に下げる。
- 「設定 > 詳細設定 > ネットワーク」の「輻輳を管理するためにビットレートを動的に変更する (ベータ版)」をオンにする。回線が詰まったときにコマを捨てるかわりにビットレートを自動で下げる機能です。OBSの説明文では、執筆時点でRTMPでのみ使えるとされています。
- 配信中に同じ回線で大きなファイルのアップロードや、ほかの人の配信が動いていないかを確かめる。
対策は1つずつ試し、そのたびに統計の数字を見比べてください。ドロップがほぼ0なのに視聴者から「カクつく」と言われる場合は、PC側の2項目(レンダリング・エンコード)を先に見直します。
回線が原因かどうかをもっと詳しく調べたいときは、配信が途切れるのは回線のせい?で必要な上り速度と見直す順番を解説しています。
直ったかを確かめる手順と、今日やること
設定は1回に1か所だけ変えてください。まとめて変えると、どれが効いたのか分からなくなり、画質だけが下がったままになりがちです。確かめる流れは次のとおりです。
- 設定を1か所変える。
- 統計ウィンドウで「統計をリセット」を押す。
- YouTubeなら限定公開で、いつもと同じゲーム・同じモデル表示のまま5〜10分ほどテスト配信する。
- 3つの数字のうち、増えていた項目が止まったかを見る。止まらなければ元に戻して次の対策へ進む。
どこから手をつけるか迷ったら、OBSの「ツール > 自動構成ウィザード」を一度通しておくのも手です。執筆時点では、使用目的・映像設定・配信情報を順に指定する画面があり、「帯域幅のテストでビットレートを推定する」という項目も選べます(項目名は前述の日本語UIファイルによる)。自分でいじりすぎた設定を見直す目安になります。
今日やることは1つです。OBSの「表示 > 統計」を開いたまま限定公開のテスト配信を10分して、3つの数字のどれが増えるかをメモしてください。原因が1つに決まれば、この記事の該当する章の対策だけを上から試せば足ります。配信全体の準備を見直すならゲーム配信の始め方ガイド、OBSの基本操作はOBS Studioの使い方ガイドに戻ってください。

