Live2DモデルでVTuber配信をするだけなら、公式推奨は「VRAM 4GBのグラボ」「GTX 1060相当」程度です。VTube StudioもnizimaLIVEも、今のPCで動く人は少なくありません。
上位の記事は推奨スペック表と有名VTuberのPC紹介が中心で、「買う前に今のPCで足りるかを確かめる方法」まで踏み込んだものは多くありません。
この記事では、公式の必要環境を出典つきで並べたうえで、手持ちPCの確かめ方と、足りなかったときの予算別の選び方を順に説明します。
VTuber配信のPCスペックの目安は「公式の必要環境」から逆算する
VTuber配信のPCは、3つの仕事を同時にこなしています。顔の動きを読み取るトラッキング、モデルを描くレンダリング、映像を配信用に圧縮するエンコードです。ゲーム配信なら、ここにゲーム本体の処理が加わります。
そのため「VTuber用PCの必要スペック」という1つの数字はありません。使うアプリそれぞれの必要環境を確認し、同時に動かす分を足して考えるのが確実です。まずは主なアプリの公式情報を並べます(執筆時点(2026年10月)の内容です)。
| アプリ | 最低限(公式) | 推奨(公式) |
|---|---|---|
| VTube Studio(Windows) | 64ビット版Windows、1.8GHz以上のCPU、メモリ4GB、DirectX 11対応で専用VRAM 2GB以上のAMD/NVIDIA製グラボ | Windows 10(64ビット)、2.5GHz以上のCPU、メモリ6GB、専用VRAM 4GB以上のグラボ |
| VTube Studio NVIDIA Broadcast Tracker(追加機能) | NVIDIA RTXシリーズのグラボ、メモリ4GB | RTX 3060、メモリ6GB |
| nizimaLIVE(PC版) | 2コア以上・最大2.5GHz以上のCPU、メモリ4GB以上 | メモリ8GB以上、GPUはGeForce GTX 1060相当以上 |
| OBS Studio(Windows) | Windows 10または11、DirectX 10.1対応のGPU | 公式は数値を示さず、CPUの負荷はエンコーダー・解像度・FPS・シーン構成で大きく変わると説明 |
出典: VTube StudioはSteamの製品ページ、NVIDIA Broadcast Trackerは同DLCのページ、nizimaLIVEは公式マニュアルの動作環境、OBS Studioは公式ナレッジベースのSystem Requirements。対応OSのバージョンはアップデートで変わるので、インストール前に各ページで確認してください。
表を見ると、Live2Dモデルを動かすアプリ単体の要求は高くありません。VTube Studioの推奨はメモリ6GBとVRAM 4GB、nizimaLIVEの推奨はメモリ8GBとGTX 1060相当です。数年前のゲーミングPCでも届く水準です。
一方でOBS Studioは、公式自身が「動作環境を満たしていても、配信や録画ができるとは限らない」と書いています。どこまで重くなるかは、配信の解像度やゲームの重さで決まるということです。ここが「目安がわかりにくい」と感じる原因でもあります。
そこで考え方を2段階に分けます。雑談や歌枠のようにモデルとOBSだけを動かす配信なら、上の推奨を満たしていれば試す価値があります。ゲームも同時に動かすなら、ゲーム側の推奨スペックを土台にして、VTuber用アプリの分を上乗せします。メモリで言えば、ゲームの推奨容量にVTube Studioの6GBやnizimaLIVEの8GBが加わる計算です。
モデルの読み取り方法でも差が出ます。VTube Studioの公式Wikiは、トラッキングの精度を「iOS(iPhone)>Webカメラ>Android」の順と説明しています。Webカメラなら、トラッキング精度のために1280×720以上の解像度を勧めています(出典: VTube Studio公式Wiki Introduction & Requirements)。iPhoneでのトラッキング設定はVTube StudioでiPhoneトラッキングする方法にまとめています。
買い替える前に、今のPCで足りるか確かめる手順
スペック表を眺めるより、実際に動かして負荷を見るほうが早く確実です。必要なのはVTuber用アプリとOBS Studio、それにWindows標準のタスクマネージャーだけです。次の順で確かめます。
- VTube StudioかnizimaLIVEをインストールし、モデルを読み込んでトラッキングを動かす。手順はVTube Studioの使い方とnizimaLIVEの使い方を参照。
- VTube Studioの場合、設定でフレームレートを60FPS、またはモニターのリフレッシュレートの1/2に制限する。
- OBS Studioを起動し、「ツール > 自動構成ウィザード」で配信向けの設定を作る。
- モデルをOBSに取り込み、配信予定のゲームも起動して、録画を数分回す。
- その間にタスクマネージャー(Ctrl+Shift+Esc)の「パフォーマンス」タブで、CPU・メモリ・GPUの使用率を見る。
- 録画を再生し、モデルの動きやゲーム画面がカクついていないかを確かめる。
手順2のフレームレート制限は、VTube Studio公式Wikiのラグ対策ページが勧めている設定です。公式Wikiは、60FPSかリフレッシュレートの1/2に制限することを勧めています。同じページは、タスクマネージャーでCPUとGPUの使用率を別々に確かめるよう案内しています。見るのは、どちらかが100%近くに張り付いていないかです(出典: VTube Studio公式Wiki Lag Troubleshooting)。
手順3の自動構成ウィザードは、ハードウェアに合った設定を探す機能としてOBS公式が紹介しています(出典: OBS Studio System Requirements)。いきなり高画質の設定を自分で入れるより、まずウィザードの結果で負荷を見るほうが判断を誤りにくくなります。
モデルをOBSに映す方法でも負荷は変わります。VTube Studio公式Wikiは、Windowsでは「Spout2」での取り込みを勧めており、CPUをほとんど使わず背景透過にも対応すると説明しています。NDIではVTube StudioのCPU使用率が上がる場合がある、とも書かれています(出典: VTube Studio公式Wiki Recording/Streaming with OBS)。
結果の読み方は単純です。CPUかGPUのどちらかが100%近くで張り付き、録画がカクつくなら、その部品が足りていません。どちらにも余裕があるのにカクつくなら、PCより設定や常駐ソフトを疑います。公式Wikiは、動作を軽くするとうたうツールやセキュリティソフトの一部が、逆に重くする例を挙げています。Steamオーバーレイでフレームレートが落ちる例も載っています。
この手順で問題が出なければ、買い替えは急がなくて大丈夫です。足りないと分かった場合も、どの部品が詰まっているかが分かるので、次の予算選びで迷う範囲が狭くなります。
予算別に比べるVTuber向けゲーミングPCのおすすめ構成
手持ちのPCでは足りなかった人向けに、配信内容ごとの目安を表にしました。GPUはNVIDIAのGeForceで示しています。理由は後の「判断基準」で説明します。価格は大手BTOメーカーの公式ストアでデスクトップ型を見た、執筆時点(2026年10月)の税込の価格帯です。メモリやストレージの構成、セールで大きく変わります。
| 予算の段階 | 想定する配信 | GPUの目安 | 執筆時点の価格帯(税込・デスクトップ) |
|---|---|---|---|
| 0円(今のPC) | Live2Dで雑談・歌枠、軽いゲーム | VRAM 4GB以上、GTX 1060相当以上 | 追加費用なし |
| 入門 | Live2D+多くのゲームの配信 | RTX 5050〜RTX 5060 | 18万円台後半〜20万円台前半から |
| 中級 | 重めのゲームを画質を上げて配信 | RTX 5070 | 25万円台後半から |
| 上級 | 3Dモデル、最新の重いゲーム、配信と録画の同時進行 | RTX 5070 Ti以上 | 30万円台半ばから |
価格の出典: マウスコンピューター RTX 5060搭載パソコン一覧、FRONTIER RTX 5050/5060搭載PC特集、ドスパラ RTX 5050デスクトップ一覧、マウスコンピューター RTX 5070搭載パソコン一覧、ドスパラ RTX 5070 Ti搭載モデル一覧。
表の「想定する配信」は、各アプリの公式推奨と、GPUの性能の段階から組み立てた目安です。遊ぶゲームが決まっているなら、そのゲームの公式推奨スペックを必ず先に確認してください。ゲームの推奨が表の段階より上なら、ゲームの推奨に合わせます。
予算帯ごとの選び方
0円:今のPCで始める
雑談や歌枠が中心なら、まず今のPCで始める価値があります。VTube Studioの推奨はVRAM 4GBのグラボ、nizimaLIVEの推奨はGTX 1060相当です。前の章の手順で問題が出なければ、そのまま初配信まで進めます。
デビュー前の予算は、モデルやマイクに回したほうが配信の見え方は変わりやすいものです。何にいくらかかるかはLive2Dモデルの依頼相場も合わせて見ておくと、PCにかけられる金額が決めやすくなります。
注意したいのは、グラボを積んでいないノートPCです。VTube StudioはWindowsの最低条件として、専用VRAM 2GB以上のAMDまたはNVIDIA製グラボを挙げています。CPU内蔵のグラフィックだけのPCは、この条件から外れます。
入門:RTX 5050〜RTX 5060クラス
多くの人にとって、買い替えの出発点になる段階です。VTube Studioの推奨VRAM 4GBを大きく上回り、NVIDIA Broadcast Trackerの最低条件である「RTXシリーズ」も満たします。
執筆時点では、RTX 5050搭載機とRTX 5060搭載機の価格帯がかなり重なっていました。同じくらいの価格なら、GPUの段階が上のRTX 5060を選ぶほうが、後からゲームを増やしたときに困りにくくなります。
中級:RTX 5070クラス
重めのゲームを画質を上げて遊びながら配信したい人向けです。NVIDIA Broadcast Trackerの推奨はRTX 3060なので、トラッキングをGPUに任せる使い方でも余裕が出ます。
この価格帯になると、同じGPUでもCPUやメモリの違いで価格が大きく動きます。GPUだけで決めず、後で説明するメモリ容量も同時に確認してください。
上級:RTX 5070 Ti以上
3Dモデルを動かす配信や、最新の重いゲームを高画質で配信しながら録画もする人向けです。デビュー前の段階で、ここから始める必要はほとんどありません。
配信者が実際に使っている高性能PCの一例はGatiImo(がち芋)のゲーミング環境まとめで紹介しています。BTOメーカーと配信者のコラボモデルの例としてはNIRUとLEVEL∞のコラボゲーミングPCの記事もあります。どちらも、自分の配信内容と比べて「そこまで要るか」を考える材料にしてください。
部品ごとの判断基準(GPU・CPU・メモリ・ノートかデスクトップか)
予算の段階が決まったら、部品ごとに次の基準で絞り込みます。
GPUはNVIDIA製を軸にする。理由は2つあります。1つは、OBS公式が3種類のハードウェアエンコーダーのうち、NVIDIAのNVENCを最も良いものとして勧めていることです。AMDのエンコーダーは3種類で最も画質が低く、ゲームでGPUが埋まると影響を受けやすいとも書かれています(出典: OBS Studio Hardware Encoding)。もう1つは、VTube StudioのNVIDIA Broadcast TrackerがRTXシリーズ専用であることです。
CPUは「エンコードをGPUに任せる」前提で選ぶ。OBS公式は、CPU負荷はエンコーダーや解像度で大きく変わると説明しています。NVENCを使えばエンコードの負荷がCPUから外れるため、CPUはゲーム側の推奨を満たすことを優先して大丈夫です。BTOの構成で迷ったら、GPUを1段上げるほうが配信の安定につながりやすくなります。
メモリは足し算で決める。VTube Studioの推奨は6GB、nizimaLIVEの推奨は8GBです。ゲームを同時に動かすなら、ゲームの推奨容量にこれが加わります。OBSやブラウザ、Discordも同時に開くことを考えると、8GBでは余裕がありません。BTOで16GBと32GBを選べるなら、遊ぶゲームの推奨容量を見て決めます。
ノートかデスクトップか。執筆時点では、RTX 5060を積んだゲーミングノートは大手BTOで税込20万円前後からでした(出典: マウスコンピューター G TUNE RTX 5060 Laptop GPU搭載ノート一覧)。同じ名前のGPUでも、ノート向けは「Laptop GPU」と表記される別の製品です。置き場所に困らないならデスクトップ、持ち運ぶならノート、という分け方で十分です。
Macで始める場合。VTube StudioもnizimaLIVEもmacOS版があります。ただしVTube Studio公式Wikiによると、OBSへの取り込みで勧められているSpout2はWindows専用です。macOS向けの取り込み方法には古いOSでしか使えないものもあるため、Macでは取り込み方法を先に確認してから機材をそろえます。
マイクやカメラなど、PC以外の機材の優先順位はVTuberになるために必要な機材ガイドにまとめています。PCにかける予算を決める前に、全体の配分を一度見ておくと失敗しにくくなります。
今日やること:今のPCでモデルを動かして負荷を見る
PCを選ぶ前に、今日やることは1つです。手持ちのPCにVTuber用アプリとOBS Studioを入れ、モデルを動かしながらタスクマネージャーでCPUとGPUの使用率を見てください。
100%近くに張り付かず、録画もカクつかなければ、そのPCで初配信まで進めます。張り付いた部品があれば、それが予算をかける場所です。この順番なら、必要のない高額なPCを買う心配が減ります。
モデルを持っていて、まず手軽に動かしてみたい人は、Webカメラ1台でLive2Dモデルを動かせるnizimaLIVEから試す方法もあります。
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機材全体の考え方はVTuberになるために必要な機材ガイド、配信前に済ませたい設定はVTuberの身バレ・顔バレを防ぐ設定と習慣で確認できます。

